チベット調査旅行

目的:現地旅行会社と打ち合わせ、現地視察

日程:2018年9月21日~28日 8日間

21日 大連→ラサ

22日 ラサ観光 ポタラ宮、ジョカン(大昭寺)、バルコン

23日 ラサ観光 デブン・ゴンパ、ネチュン・ゴンパ、ノルブリンカ、他

24日 郊外観光 ヤムドク・ユムツォ湖、カロー・ラ氷河

25日 ラサ観光 セラ・ゴンパ、散策

26日 青藏鉄路 ラサ→青海省西寧

27日 西寧観光 市内観光と休養

28日 西寧→大連

参加人員:計3名

 

・1日目(大連→ラサ)

私ともう1人は日本から前日大連に入る。他1名は大連在住なので、大連で合流。

西安経由でラサに夜7時半に到着。ガイドのドルチェ氏の歓迎を受ける。歓迎の意を表すカタを首に掛けてもらう。空港を出たところにある、入境管理事務所でドルチェ氏が入境手続きをおこなう。チベット入境には煩雑な手続きがいり、いくつかの許可書が必要であるが、全てガイドがやってくれる。チベット入境、観光は現地旅行会社やガイドに依頼する必要があり、個人ではできない。

空港からラサ市内まで車で1時間ほどかかる。車中でドルチェ氏からチベットについていろいろ説明を受ける。

やはり高度が富士山の頂上より少し低い程度なので、息苦しさを感じる。予約したホテルは安ホテルではないにもかかわらず、四階建てであるがエレベータがない。部屋は三階であったが、酸素が少ないので、上りは少し厳しく感じる。頭も少し重く、やはり高山病に罹っているようである。近くのレストランで皆で軽く食事し早々と就寝。

・2日目(ラサ)

朝一番でポタラ宮に向かう、かなり寒い。前日までは暖かであったが、天候が変わったせいか、この日は急に寒くなったとのこと。ポタラ宮観光は完全予約制なので日にち、時間は変えられない。すべて、ガイドのドルチェ氏が前もって予約してあった。それでも寒い中、屋外の行列の中で、一時間ほど待たされた。寒い上、空気が薄いのでかなりこたえた。まずポタラ宮の最上階近くまで上り、そこから建物に入った。

中には、多くの仏像、仏塔、経典、マンダラなどがあり、それらを見学する。経典を除き、多くが黄金色に輝き、宝石をちりばめたものもあり、大変豪華である。すべて金無垢とのガイドの説明だが疑わしい、多くが厚い金箔ではないだろうか。大きなものが多く、巨大な霊塔もある。顔は東洋系ではなくインドアーリア系が多く、日本の仏像とは雰囲気が異なる。しかし、古さを感じさせ、迫力がある。ポタラ宮だけではなく、他の寺院もそうであるが、撮影禁止なので、内部を撮影できないのは非常に残念である。

午後は旧市街にある寺院、ジョカン(中国名:大昭寺)を訪れる。

大変著名な寺院でポタラ宮を除けば、チベットで最も高名な歴史的建造物の一つである。7~9世紀中ごろに栄えた吐蕃国は、勢力を拡大し、シルクロードや中国の甘粛地域にも領土を広げ、唐とも関係を持った。最盛期のソンツェン・ガンポ王とその息子のグンソン・グンツエン王の時、ネパールからティツン王女と中国から文成公主を妃に迎える。ソンツェン・ガンポ王の死後、この二人が協力して菩提寺として建てた寺院である。中には多くの仏像が置かれている。ポタラ宮同様、日本のものとは趣を異にするが、みな立派である。本尊としての文成公主が中国から持参した釈迦牟尼像やティツン王女がネパールから持参した仏像も見ることができる。

本堂の黄金色の屋根やその傍にある法輪と二匹の鹿の像は有名。また、中庭を囲む回廊には見事な仏画の壁画が描かれている。

ジョカンを見た後、隣接する商店街のバルコルを見て回る。ジョカンを取り囲む方形の通りで。土産物屋など商店がびっしりと並んでいる。観光客も多いがチベット人の巡礼者も多く、グループで歩いている。小さい携帯用のマニ車を回している人も見うけられる。通りは、多くの人で賑わい、旧来の様式の商店や、チベットの服を着た巡礼者など、独特の雰囲気を味わえる。ほとんどの人が宗教上のしきたりで右回りに歩いている。

夕食後、ドルチェ氏と今後について打ち合わせをする。

ラサ空港着陸前の眺望

ポタラ宮殿最上階

ポタラ宮殿

ジョカン(大昭寺)

ジョカンの壁画

巡礼路バルコル

・3日目(ラサ)

朝から車で郊外のデプン・ゴンパを訪れる。山の斜面に本殿、寝殿、多くの僧坊(僧侶の宿舎)などが立ち並ぶ、大きくて重要な寺院。仏像や霊塔の置かれている本殿の内部は見られなかったが、僧坊を見学することができた。この寺から眺望は素晴らしく、ラサの街を見下ろすことができる。帰りに、途中にあるネチュン・ゴンパに立ち寄る。ここは中国の侵入以前は、新年の吉凶を占う信託官の暮らす寺院として有名であった。

ラサに戻り、昼食を取る。チベット名物のヤクの鍋料理であった。十分食べられたが、味付けが異なるせいか、美味というほどではなかった。

その後、市街地にあるノルブリンカを訪問。ダライ・ラマの夏の離宮で、歴代のダライ・ラマの建てたいくつもの離宮がある。

チベットに亡命した現在のダライ・ラマ14世の離宮を見学した。

花で囲まれたチベット風の建物の中は比較的近代的で、ダライ・ラマ14世が生活した内部をそのまま保存してある。トイレ付きバスルームなどもあり近代的生活をしていたことがわかる。ロシアやインドから贈られたラジオやレコードプレイヤーなど、今となっては年代ものとなってしまった品々も展示されている。

その後、ホテルに戻る。ホテルはジョカン、バルコルに近いので、再度、我々だけでバルコルに出向いた。商店を見て回り、雰囲気を味わい、写真を撮影した。日差しがきついので、帽子をかぶっている人も多く、帽子が土産物の一つになっている。つばが少し広く、安価でカッコイイので一つ購入した。観光はガイド付きが原則のようだが、少なくとも街をぶらついたり、店で買い物したりするのは、ガイドが同行してなくても問題ないようである。ただし、所々に治安維持の目的で検問があり、荷物を調べられる。

 

デブンゴンパ

デブンゴンパの眺望

デブンゴンパの僧坊

ノブリンカ

ノブリンカ

ヤク肉の鍋料理

・4日目(郊外)

ガイドが手配した車で郊外の湖と氷河に向かう。途中の風景は、美しい川や山、民家や牧草地など大変よかった。途中の休憩所からの眺望は素晴らしく、ヤクに乗ったり、写真撮影したりして楽しんだ。数時間のドライブの後、ヤムドク・ユムツォという湖に到着。山々の谷間の氷河に水が溜ってできたような、細長い湖。その水の色は空の青さと相まって何とも言えない素晴らしい美しさであった。すでに4千メートルを超す高度なので、やはり息苦しさが感じられた。

展望台で湖の眺望を楽しんだ後、湖に沿い更に遠方へ行く。一時間ほど車に揺られた後、険しい山の中に入り、少しして目的地に到着した。車を降りると、目前に氷河が迫っていた。ノジンカンツァンという名の山の麓にある、カロー・ラ氷河だ。標高は5045mで富士山より千メートル以上も高い。氷河のすぐ近くに仏塔があり、タルチョがかかっている。ここで氷河を堪能しながら記念撮影。さすがこの高さに短時間で来たので、意識はしっかりしていても、歩くときは少しふらつくし、動きも若干遅く感じられる。

小一時間滞在した後、ラサに向けて帰途に就いた。この日はチベットの素晴らしい自然と風景を体験することができた。このような高度の地を旅行できるのは、チベットならではである。登山家でなければ、他の地域でこのような体験はできない。

ラサ郊外の風景

ヤク試乗と雄大な風景

ヤムドク・ユムツォ湖

ヤムドク湖と放牧

カロー・ラ氷河

カロー・ラ氷河と霊塔

・5日目(ラサ)
午前中はセラ・コンパ(色拉寺)を訪れる。ラサの中心地から車で30分足らずの郊外にある。危険を冒して入国し、チベット仏教を調査研究し、後にチベットの内情を日本に紹介した、河口慧海や多田等観もこの寺でチベット仏教を学んだ。
15世紀初めに創建された、歴史的にも大変由緒ある大寺院である。明の永楽帝から贈られた、大蔵経や由緒ある仏像などを所蔵している。ここで一番の見ものは、平日の午後に中庭でおこなわれる、僧侶たちの問答修行。独特の様式で行われ、大変興味深い。多くの僧侶たちが、ペアないしは3人で、独特のジェスチャーを交えて行う。観光客は自由に見ることができるし、スマホでの撮影も可能である。彼らの問答での言葉は、ガイドでも理解できないとのこと。
午後は自由時間とし、ラサの旧市街をブルブラし、店をひやかしたり、土産を買ったりした。旧市街は観光を意識して作ったのか、風情のある建物も多く、また観光客の行く商店も比較的小奇麗で疲れない。街は安全で、迷路のような裏道を歩くのも問題ない、ただし所々に荷物の検問がある。刃物や覚せい剤など持ってなければ問題ないが、やはりいい気はしないし、少々面倒。これらの検問所や警察官などを撮影するのは厳禁。見つかれば、警察署に連れていかれ、いろいろ尋問される。
土産は主なものとしては、上記の帽子の他は、知り合いに頼まれた仏画のマンダラ。専門の絵師や見習いが書いたもので、結構高価である。かなり高価なものは素人でも素晴らしさがわかる。いろいろ見て回り、良さそうなものを2点購入。他は安価で、できもいいお面(自室に飾るため)。それから超安価な絹や毛のスカーフ、品質やデザインもよいのでバラマキ用にいくつか買った。

セラ・ゴンパ 仏塔とマニ車

セラ・ゴンパ 見事な壁画

セラ・ゴンパ 五体投地する参拝者

旧市街の街並

民族衣装の女性

セラ・ゴンパ問答修行

・6日目(青蔵鉄路)

チベット旅行のもう一つのハイライト、青藏鉄路にのるため、朝ホテルをチェックアウトし駅に向かう。問題なく午前9時出発の列車に乗る。この鉄道は世界一の高度を走る。その高さと距離は、他の世界の高山鉄道と比べると断トツであり、世界に類を見ない鉄道路線である。青海省の省都、西寧とラサを結び、全長は約2千km、それを約22時間で走破する。東京―鹿児島間の新幹線の距離が1、500km足らずなので大変な長距離である。最高地点はタンラ峠で海抜5、072m、そして海抜4千メートル以上のところが960kmもある。工事は2期にわかれ、高所地域(ゴルムド~ラサ)の工事は2期目で2001年に始まり、2006年に完成した。凍土での建設のための特殊工法、高山病、厳寒な温度や強風等、建設には非常な困難を伴った。列車は完全密閉、酸素濃度の高い空気が車内に供給され、かつ酸素吸引装置も常備されている。車内は清潔で快適、食堂車では美味しい中華料理を楽しめる。何といっても醍醐味は車窓の景色である。6千mを超す峻嶺な山々が目前にせまり、迫力満点。雪をかぶった険しい頂や尾根がすぐ目の前に展開する。また、スケールの大きい高原や点在する清楚な湖なども素晴らしい美しさを見せてくれる。雄大な高原での放牧も見られ、大変印象的である、又、運がよければチベットでしか見られないチルー(チベットカモシカ)などの野生動物も見ることができる。

・7日目(西寧)

朝到着し、タクシーでホテルに向かう。予約しておいたホテルに着いたが、外国人は泊まれないと断られる。予約時に手違いがあったようである。別の外国人が泊まれる、同程度のホテルを紹介されたので、そちらに向かう。迷った末、何とか見つけて、やっとチェックインすることができたが、かなり時間を無駄にしてしまった。私はチベット到着前にひいた風邪が治らず咳が止まらない。同行の二人も疲れているようなので、西寧観光はやめてホテルで休養をとることにする。夕方から食事を兼ね街中に出てブラブラする。

・8日目(西寧→大連)

昼のフライトで西寧を出発、西安を経由し18時半頃大連着。解散。

私はその後一週間ほど大連に所用で滞在した後、帰国。

青藏鉄路の先頭車両

眼前に迫る高峰の峰々

高峰と斜面を下る河川

食堂車内での昼食

広大な高原

高原と湖